2025/03/07 22:58

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3/14 晴れ
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眠りにつく前のおぼろな頭で考えていました。
春を目前にした世界では珍しく雪が降っていて、積もった雪が吸音材の役割を果たしているのか町はしんと静まりかえっています。
暖房の音だけが温もりのような真夜中の布団の中で、私は私のなかをぐるぐると巡っていました。
なにか幸せに類似する事柄について考えていたように思います。
恐らく先生が話されていた好きな本を少し読み始めた影響なのだと思います。
現実なのか夢なのか分からない意識の狭間のなかで 私はようやく答えを見つけました。
その時の感覚といったらもうなんたるや
絡まった糸を全てほどき ばらけた糸を一本へよじり その糸をつたって天国へいくような
その瞬間 私は世界を知り 全身は安堵で満たされ 世界に春がやってきたように感じました。
私はその答えを脳内で文字として書き起こし 忘れないうちにメモを取っておこうと思いました。
しかし体は動かず そのまま深い眠りについてしまいました。
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目が覚めると 全身がいわれのない多幸感に包まれていて まるで仏にでもなったかのように愛で満ち満ちていました。
しかし昨晩浮かんだ素晴らしい答えはどこかへ消えてしまっており それが少し寂しいような もったいないような気もしましたが,私は別にそれでもいいのだと それこそが答えなのだと思うようにしました。
今朝は特別な日にだけ飲むと決めているローズヒップの紅茶を淹れ ホワイトデーなので職場のみんなにプレゼントをしようとクッキーを焼いてみました。
そうして私は家を出て 改札を通って満員電車に乗り 目の前の香水臭い金髪の若者に聞こえるように舌打ちをしました。
私は世界を愛しています,先生。
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